竹村健一氏 語る!

 (社)三原青年会議所は、これまで住民主導による合併問題に取り組んでまいりました。1999年9月、本紙「やっさもっさ」にて三原市周辺の地域再編「小早川市構想」を発表、2000年6月には「YES/NO小早川市」と題し、「住民・議員アンケート」の実施、同年10月、国際政治学者(現参議院議員)舛添要一氏をお招きしての「広域連携フォーラム」の開催、2001年「広域まちづくり研究会」の発足などが主な活動です。講演に先立ち、合併問題に取り組んでゆくことになった経緯と、これまでにおこなってきた事業の紹介と共に本年発足した「住民による合併を考える会」の活動内容をビデオにて上映致しました。その後「これからの日本〜地方自立へのシナリオ〜」と題し、竹村健一氏による講演会を開催しました。.

今の経済危機を乗り切るには

 皆さんご承知の通り、現在日本は666兆円の財政赤字を抱え、経済危機の問題が毎日の様に新聞・テレビで報道されています。竹村健一氏は講演の中で、「戦後の経済成長を経て世界一の経済大国となった日本ですがバブル崩壊後、今までに経験したことのない経済危機を迎えます。この様な状況に陥ったのは経済成長の過程の中で、お金の有効な運用法を見つけ出すことができなかったこと、すなわち資産の運用法について教育がなされなかったことが原因だ」と述べられました。小泉内閣が「痛みを伴う構造改革」として、特殊法人の民営化、医療制度の見直しなどを検討中ですが、現在の経済危機を乗り切るには、将来に不安を抱えたまま生活せざるを得ない状況の中、「不況・不況と恐れるのではなく、裕福な国民がお金を使い消費をして循環させなければ明日の日本はない」と語られました。混沌とした時代からの旅立ちへのヒントがみえたかもしれません。

1市3町の合併は!?

 国の施策で地方への権限委譲を推進する「地方分権推進法」が制定され、自分たち地域のことは地域自らが考え、責任をとる地方の自立が求められています。また、合併特例法の期限まであと3年となり、日増しに合併問題は現実味を増しています。竹村健一氏は本郷町、久井町、瀬戸田町、三原市の1市3町の枠組みに対して、「10万人規模では、合併しても今と何も変わらない。将来的には、もっと大きな枠組みで考える必要がある。例えば三原市周辺から福山市周辺までの政令指定都市並みの枠組みを考えなければ、新しい地域としてのポテンシャリティ(特色)は活かせないだろう」と将来的に見た、この地域のあり方をお話しされました。

長期的な展望を

 「岡山県では中国自動車道、山陽自動車道、米子自動車道と3つの高速道路に隣接する岡山空港を中心とした物流の拠点づくりをおこなっています。これを三原市周辺地域に置き換えれば、広島空港、山陽自動車道、しまなみ海道があり、中四国のゲートウェイ(玄関口)としての広島空港を拠点とし、工業・物流・観光など地域の特色を活かす長期的な展望をもった計画が必要である。その為の第一歩として1市3町での合併は良いのではないか」と語られた。その為には、しまなみ海道から広島空港へ直接アクセスする「フライトロード」「瀬戸田・三原架橋」実現を目指した動きも必要となってくると考えます。

(社)三原青年会議所が考える「合併運動」は、単に合併運動自体が目的ではなく、地域主権社会を実現するため、市民・行政・企業が協働のまちづくりを進めるための一つの手段であると思っております。先日、柴田瀬戸田町長が本郷・久井・三原との合併方針を表明され、私たちが望む一市三町の合併もこれから具体化してゆくと思われます。今後も私たちは「合併問題」を切り口に、これからのまちづくりに「住民参加」「住民自治」の重要性を周辺地域の住民と共に議論する場を持ち、住民一人ひとりが、どの様な役割を果たせるのか、行政と共に協働でまちづくりをしてゆくにはどの様なシステムが必要なのかを検討してまいります。また、「住民による合併を考える会」に一人でも多くの地域住民の皆様に参加していただき、合併を自分たち自身の問題であると認識し、地域全体でこの問題に取り組み、論議が深まることを期待します。今回の記念事業を通して、小さな火種が起こったことと思います。この火種が周辺地域に飛び移り、大きな火になって、この地域が大きく輝き発展してゆくことを信じています。

お礼のことば

(社)三原青年会議所理事長
                          伊達  護 
 私たち(社)三原青年会議所は、「明るい豊かなまちづくり」を基本理念にさまざまな活動を展開し、おかげさまで本年創立40周年を迎えることができました。
 これまでの活動の成果を、40周年記念事業というかたちで、去る3月3日(日)三原市文化会館において、評論家の竹村健一氏をお招きし、『これからの日本〜地方自立へのシナリオ〜』と題した講演会を行い、盛大なうちに終えることができました。
 当日は、五藤三原市長、近隣の首長をはじめ、1,200名のご参加をいただきました。皆様には本紙面をお借りして心より厚く御礼申し上げます。
 今後とも(社)三原青年会議所に対し、皆様方の暖かいご理解とご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げまして、お礼のご挨拶とさせていただきます。

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