問われる「共育力」!!
中之町小学校長インタビュー

三原市立中之町小学校 校長 上田輝彦氏

 いよいよ4月から始まった。新学習指導要領の導入による「総合的な学習の時間」と「完全学校週5日制」。保護者は、年間約70時間の授業削減による学力低下、土・日曜日の過ごし方を不安視している。この様な状況におかれている子どもたちを育んでゆくためには、新しい指導内容を前向きに捉え、学校、家庭、地域の三者がお互いを理解し合い、協議の場を持ち、共に解決してゆくことが最も大切なことではないのでしょうか。
 三原市では、「情報教育」として、地域イントラネットを整備し、学校の教育目標や教育計画、その他学校に関する情報及び教育活動を保護者・地域住民に公開する計画をされていますが、それに先立ち自らホ−ムペ−ジを開設することによって、保護者・地域住民と連携した「共育」を実践している三原市立中之町小学校校長 上田輝彦氏を訪問し、今後の学校のあり方、学校における地域との交流についてお話を伺いました。

 「完全学校週5日制」で.子どもたちへの影響は
 私の耳に「学力低下」という言葉がよく入ってきます。保護者の方々に於いては心配なこととは思いますが、各小学校では、「完全学校週5日制」を見越した年間の授業計画を作成しております。その中では、基本的な内容の充実を図り、ゆとりを持って確実に身につける授業を重視していますので、学力低下への影響は懸念されるほどではないと感じています。私が心配していることは、土・日曜日が休みになることによる家庭での影響です。ファミコンゲームに象徴されるように、子どもたちの遊び方自体が大きく変わり、外での遊びが薄れてきていることです。先日も土曜日に校区内をひと廻りしてみましたが、外で遊んでいる子どもが殆どいませんでした。また、現代の子どもたちには、タテの関係だけでなく、ヨコの繋がりも薄れてきているように思います。「完全学校週5日制」を機に、地域の受け皿の強化を図っていただき、子ども同士の輪を広げ、タテ・ヨコの関係を築けるような活動をしてゆくことが必要ですね。

地域住民と共に
 中之町小学校では、保護者・地域の人たちがゲストティ−チャ−(地域の先生)となり、子どもたちと共に授業をおこなっています。昨年度は、「地域」や「環境問題」等について取り組みました。その中で、子どもたちはどのような勉強がしたいのか、その為には何が必要なのか、子どもたち自身で考え、私たち大人は子どもたちに出来ないこと、解からないことをサポートすることで、一緒になって一つの課題について取り組んできました。今後もこのような活動を通して、学校・保護者・地域が連携した取り組みをして、子どもたちを「共育」できればと思っています。
 また、新校舎が完成しましたが、行政関係者にお願いし、地域の方やPTAとの交流ができる会議室を造っていただきました。数多くの方に利用していただき、学校・保護者・地域の輪が広がってゆくことを期待しています。

情報化による
開かれた学校づくり
 三原市では、地域イントラネットを活用し、小中学校間のネットワ−ク化を図り、学校内・学校間の情報交換が容易にできるよう整備している最中ですが、中之町小学校ではそれに先駆け、教育目標などを盛り込んだホ−ムペ−ジを立ち上げました。(http://www.tako.ne.jp/~nknc-sho/ )ホ−ムペ−ジを保護者や地域の方に見ていただくことにより、視覚で学校の教育計画や行事等を理解していただけましたし、卒業生からも行事や学習に関して「お手伝いさせてほしい」との問い合わせがありました。また、メ−ルで保護者と情報交換の場を持つことができ、違う意味での「開かれた学校」づくりができつつあるのではないかと思っています。

 中之町学校へお邪魔してまず驚いたのは、地域・PTAの交流ができる会議室や, 学校に関する情報及び教育活動を保護者や地域住民に公開していることなど「開かれた学校づくり」を進められていたことでした。その一環として、地域の方々を先生として学校に招き、子どもたちと共に「環境問題」や「地域の歴史」などについて授業され、保護者や地域の方々が何時でも子どもたちの教育に参加できる体制が整っています。
 また、お話をお伺いする中で、学校は学校、家庭は家庭、地域は地域の持つ教育機能を互いに尊重しあい、三者が一体となり、学校を拠点とした学習展開を推進してゆく事が大切だと言われていました。意識を変えなければいけないのは私たち地域の人や親だと感じました。
 (社)三原青年会議所は、地域の人々が学校教育に積極的に参画してゆくことが、必要不可欠なことであり、地域に住む全ての住民が「共育」に参画できるシステムづくりを行うことが必要だと考えます。そして地域社会においては、まず私たち一人ひとりが、子どもたちの教育環境を構成する一員であるという意識を持ち、学校と共に責任を持って子どもたちを教え、共に育んでゆくことが重要であると考えます。
 そこで本年度、人づくり支援委員会では、家庭(P)、学校(T)、地域社会(C)が機能した私たちが理想としている「地域の教育力が充実した社会」に向けたPTCA運動を展開してまいります。
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